「下を救ったら上が儲かる」ドイツ公務員給与の不思議な仕組み/第910号

目次

生活は金額で成り立っています。
しかし制度は割合で設計されます。

このズレが、ドイツで議論になっている公務員給与問題の本質です。

最低生活水準を基準にした制度は、本来は弱い立場の人を守るためのものです。
ところがその基準が、上級官僚や政治家の給与まで押し上げる結果を生んでいます。

今回は、この構造を具体的な事例で見ていきます。

コメントなど

背景は

→ ドイツ連邦憲法裁判所が「公務員給与が低すぎる」と指摘したこと

当初の案ではどれくらいの増加が提案されていたかというと

  • 高級官僚(国家次官クラス)の給与が約20%増
    年+約4万ユーロ 750万円くらい

これに連動して

  • 首相:年+約6.5万ユーロ 1200万円くらい
  • 閣僚:年+約5.2万ユーロ 970万円くらい

ドイツでは「大臣・首相の給与は国家次官の給与に連動」する

問題点は

一般公務員は約10%程度の増加

ドイツ連邦憲法裁判所が示した基準とは何だったのか。

「公務員給与は最低生活水準より明確に上でなければならない」

その“明確に”の目安が約15%以上の差ということのようです。

一方、一般国民の中央値年収は、約5.4万ユーロ。 1000万円くらい

日本円の金額だけみると少しショックかもしれません。
しかし、当然のことながらドイツでもあまりの高額昇給に批判の声が止みません。

結果的に

  • 給与アップは通常の賃上げ(約2〜3%程度)に縮小
  • 首相の増額も月5,400ユーロ → 約770ユーロ程度に縮小

■ 一言でまとめると

👉 公務員給与改革が“政治家の大幅昇給”に波及する構造が問題化し、世論を意識して急ブレーキがかかった。

いろいろなことが頭に浮かびます。

  • 社会保障(Bürgergeld)が多すぎるという議論もある。
    上がっている社会保障が公務員給与を引き上げる。そのため一般公務員の待遇は上がっていたようです。
  • 上級公務員の昇給率の方が高い。
    これは上の理由で、上級公務員の給与が過去、一般公務員に比べて少なかったのを補填する意味もあるらしい。
  • 昇給は%で議論される。
    スーパーの食品の値段は高給取りも一般国民も同じだから、%で決めると高給取りが得しているイメージになりがち。

経済的ゆとりはかなり縮小している感じがしますね。

コメントは、ここから↓↓↓:
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前回出題分

高給取りの昇給がどれくらいか、みんな気になるよね〜

Bis zu 65.000 Euro mehr: Dobrindt stoppt Mega-Gehaltserhöhung für Merz-Regierung

Beamte sollen künftig mehr Gehalt bekommen. Davon hätte die Merz-Regierung stark profitiert. Innenminister Dobrindt aber stoppt die geplante Erhöhung.

merkur.de
http://enchan.net/xl/9lR62h

わたしの訳

最大6万5千ユーロ増:ドブリント、メルツ内閣の給与引き上げを阻止

公務員は今後もっと給与をもらうべきだ。この恩恵を強く受けるのがメルツ政権になるはずだった。しかし、ドブリント内務相がこの予定されていた引き上げを止めた。

*ワンポイント
„davon hätte … profitiert“(接続法Ⅱ+完了)

Davon hätte die Merz-Regierung stark profitiert.

👉 「(もし〜だったら)それによって〜は恩恵を受けただろう」
という意味になる表現。

✔ ポイント
hätte + 過去分詞 → 過去の「仮定」を表す(=実際には起きていない)
今回は
→ 「給与引き上げが実施されていれば」
→ 「メルツ政権は利益を得ただろうに(でも実際は止められた)」
✔ シンプルに言うと
profitiert → 利益を得る(現在・事実)
hätte profitiert → 利益を得ただろう(仮定・未実現)
✔ もう一例
Ohne Regen hätten wir gewonnen.
(雨がなければ、私たちは勝っていただろう)

訳例

まずまずですね。

---引用---
65000ユーロ増も ドブリント内相 メルツ政権の大幅給与引き上げを取りやめ

公務員は今後、より多くの給与をもらう。それによってメルツ政権は恩恵を受ける。しかしドブリント内相は予定した給与引き上げを中止した。
---終わり---

今日の記事

SNSはハッキングのターゲットですね〜

Messengerdienst
Angriff auf Signal-Nutzer – auch Bundesregierung soll betroffen sein

Die Bundesanwaltschaft ermittelt wegen eines Signal-Hacks: Nach Angriffen auf Politiker, Behörden und Medien geht es um den Verdacht auf Spionage. Die Täter täuschten Support-Anfragen vor und erhielten so Zugriff auf die Konten.

welt.de
http://enchan.net/xl/fk7SGv

訳を送ってください。
(公開を望まない時は希望しないにチェック)

和訳投稿:
https://ssl.form-mailer.jp/fms/8408fcc494664

投稿期限:2026年5月1日(金)
いよいよ5月ですね。

あとがき

地震があったり、山火事が発生したり。
クマの目撃も増えています。

何事もないのが平和なのですね。
平穏無事ということです。

それが簡単ではないことを知らされます。
自然界は人間を中心に回っているのではありません。

人間が自分の力でできることには限りがあります。
ずいぶんいろいろなことができるようにはなってきていますが。。。

自然界で快く受け入れられる存在でいるために、日々自分を向上させられるようにしたいものです。

昨日からランニングコースを少し変えました。砂利道が増えたので身体がしっかりしていないとフラフラ走ることになってしまいます。

でも、景色が変わって気分も変わりました。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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